Mixクッキング日記

日常生活の一コマを綴っています

満願寺甘とう

秋の空気があっという間に夏の暑さを塗り替えてしまい、ほんの数日前まであれほど暑かったのが嘘のよう、という様変わりの秋の訪れ。すでに秋も深まりつつある時節ながら、遡って夏の話を少々。

半月ほど前のことになろうか、実家より届いた荷物の中に野菜が幾つか入っていた。学生時代には日持ちのする食べ物やおやつをギッシリ詰めて、時々実家より段ボール箱が送られてきた。社会人となった今では、こうして実家から食べ物を送ってもらうことも殆どなくなった。自活しているのだから、もう食べ物を送ってもらう必要もないのだけれど、田舎の空気のつまった荷物が届くというのは、どういうわけかスネカジリの学生時代以上に「有り難い」気持ちになるものだ。

遠く離れた土地にいるからこそ、懐かしかや有難みを敏感に感じるようになのかもしれない。田舎者だということが嫌でたまらなかったはずなのに、いつしか田舎を自慢に思うようになっていたりする。郷土愛というのは、なかなか複雑なものなのだ。

さて、実家より届いた荷物の中にあったのがコレ、万願寺とうがらし。万願寺甘とうという名で広まっている京野菜のひとつ。京野菜というのがブランド化されて以降、地元でも大々的に推している感があるが、それまでは地元では見慣れた夏野菜のひとつ、という位置づけでしかなかった。子供の頃の夏の思い出のワンシーンには、必ずと言っていいほどこの甘とうも映り込んでくる。例えば、夏休みのお昼ごはんの一コマにも。

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かれこれ何年も食べていなかった、懐かしい夏野菜を送ってきてくれた母に感謝。一口味わっただけで、いっきに夏休み思い出が押し寄せてくるようなそんな気がした。もう味わうことのない夏休みという時間の中に、ふっと一瞬迷いませてくれるような、そんな懐かしい味を堪能したのでした。

甘とうは焼くことでさらに甘みが増すので、グリルで焼き目をつけていただきました。醤油をつけていただくのが一般的ながら、野菜の味を引き立てるには塩でいただくのが良い。美味しい野菜は塩だけでも十分に美味しいものだ。